「生態系被害防止外来種リストに載ったら、その生物は飼えなくなるの?」「特定外来生物と同じ意味?」と疑問に感じることがあります。
結論からいうと、生態系被害防止外来種リストと特定外来生物は同じものではありません。
リスト掲載だけで、直ちに飼育禁止や捕獲自由になるわけでもありません。
この記事では、似て見える2つの言葉を、目的と規制の違いから整理します。
この記事で分かること
- 生態系被害防止外来種リストと特定外来生物の違い
- 「外来種」と「特定外来生物」の関係
- リスト掲載種を見つけたとき、捕獲前に確認したいこと
まず結論:この2つは同じものではない
違いを先に表で確認しましょう。
| 比較する点 | 生態系被害防止外来種リスト | 特定外来生物 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 国が作成する注意喚起・対策促進のためのリスト | 外来生物法に基づき政令で指定される生物 |
| 主な目的 | 関心と理解を高め、適切な取扱いや対策を促す | 生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防ぐ |
| 掲載・指定されたら | 掲載だけで直ちに飼育禁止にはならない | 飼養、保管、運搬、輸入、譲渡し、放出等が原則規制される |
| 規制 | リスト掲載自体から直接の法規制は生じない | 規制はあるが、許可や一部の例外がある |
大切なのは、リストへの「掲載」と、法律に基づく「指定」を分けて考えることです。
環境省の「防除に関するQ&A」も、生態系被害防止外来種リストには特定外来生物が含まれる一方、特定外来生物ではない掲載種は外来生物法の規制対象ではないと説明しています。
ただし、リストに直接の規制がないからといって、影響を気にしなくてよいという意味ではありません。
野外へ捨てない、逃がさない、地域で拡げないなど、被害を防ぐ取扱いが求められます。
生態系被害防止外来種リストとは
生態系被害防止外来種リストの正式名称は、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」です。
環境省と農林水産省が2015年3月に作成しました。
環境省のリスト紹介ページでは、国、自治体、事業者、NPO、国民などの関心と理解を高め、適切な行動を呼びかけ、外来種対策を進めることが目的とされています。
このリストには、外来生物法で規制される特定外来生物だけでなく、現時点で同法の規制がない種類も含まれます。
そのため、名前が掲載されただけで、その生物の飼育や運搬が新たに禁止されるわけではありません。
一方、掲載は、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼす、またはそのおそれがあるとして、取扱いや対策に注意を促すものです。
法規制の有無とは別に、逸出や遺棄を防ぎ、地域の対策に協力することが大切です。
なお、環境省は2023年からリストの見直しを進め、2026年4月には改定案への意見募集を行いました。
2026年9月6日の確認時点では、環境省のリスト本体ページは2015年版を掲載し、見直し中と案内しています。
改定案と正式なリストは分けて確認する必要があります。
特定外来生物とは
特定外来生物は、外来生物法に基づき指定される生物です。
海外から日本へ持ち込まれた外来生物のうち、生態系、人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼす、または及ぼすおそれがあるものが指定対象になります。
環境省の「何が禁止されているの?」では、特定外来生物について、主に次の行為が原則として規制されると説明されています。
- 飼養、栽培、保管、運搬
- 輸入
- 譲渡し、譲受け、引渡し、引取り
- 野外へ放つ、植える、まくこと
研究などの目的で許可を受けられる場合や、法律上の適用除外もあります。
また、アカミミガメとアメリカザリガニは「条件付特定外来生物」とされ、一般家庭での飼育など一部の規制が適用除外になっています (資料)。
ただし、野外への放出や販売・頒布などは原則禁止です。
このように、特定外来生物についても、種と行為ごとの規制を確認する必要があります。
「特定外来生物だから何もできない」「家庭なら何をしてもよい」と一括りにはできません。
「外来種」と「特定外来生物」も同じではない
「外来種」は、一般に、人の活動によって本来の自然分布域の外へ持ち込まれた生物を指します。
外来種という言葉そのものは、法律で規制されている生物だけを意味しません。
また、すべての外来種が同じ程度の被害を起こすわけでもありません。
外来種のうち、生態系などに被害を及ぼす、またはそのおそれがあるものは「侵略的外来種」と呼ばれます。
なお、「侵略的外来種」は外来生物法上の「特定外来生物」と同じ意味の法律上の指定名称ではありません。
その中で、外来生物法の要件に沿って指定されたものが特定外来生物です。関係を簡単に表すと、次のようになります。
- 外来種:人の活動によって、本来の分布域の外へ持ち込まれた生物
- 侵略的外来種:外来種のうち、生態系などへ被害を及ぼす、またはそのおそれがあるもの
- 特定外来生物:法律に基づいて指定され、具体的な規制を受けるもの
したがって、「外来種だから特定外来生物」「外来種だから飼育禁止」とは限りません。
反対に、身近に見える生物でも特定外来生物に指定されていることがあります。
名称の印象ではなく、環境省の最新の「特定外来生物等一覧」で確認することが大切です。
なぜイエネコ・ノネコの話で混同されたのか
2015年版の生態系被害防止外来種リストには、「ノネコ(イエネコの野生化したもの)」が掲載されています。
しかし、イエネコやノネコは特定外来生物には指定されていません。
リストの見直し過程で掲載名を「イエネコ」とする案が示されたため、「家庭の猫まで外来生物法で規制されるのではないか」「捕獲の対象になるのではないか」という不安が広がりました。
しかし、検討されていたのは生態系被害防止外来種リスト上の掲載名です。
リストの表記を変更することと、外来生物法に基づいて特定外来生物へ指定することは、別の話です。
なぜ「イエネコ」案が出され、その後「ノネコ(イエネコの野生化したもの)」へ戻されたのかは、親以下の記事で詳しく整理しています。
そもそも、ノネコとイエネコの違いは何なのか?については、以下の記事で解説しています。
リストに載った動物を勝手に捕獲していいの?
リストに掲載されているという理由だけで、誰でも自由に捕獲できるようになるわけではありません。
リスト掲載自体は、私有地へ入る権限や、動物を捕獲する権限を与えるものではないからです。
さらに、捕獲には対象や場所によって別のルールが関係します。
- 鳥獣に当たる場合の鳥獣保護管理法
- 動物の扱いに関する動物愛護管理法
- 河川や湖沼などでの漁業関係の規則
- 自治体の条例や防除事業の手順
- 私有地や施設へ立ち入る場合の土地管理上のルール
特定外来生物にも注意が必要です。
環境省は、野外で捕まえた特定外来生物を生きたまま持ち帰ると、原則禁止される「運搬」に当たり得ると案内しています。
捕獲の瞬間だけでなく、捕獲後にどう扱うかまで確認しなければなりません。
外来種らしい動物を見つけても、外見だけで種を決めつけたり、不用意に捕まえたりしないことが安全です。
まず環境省の最新一覧を確認し、土地や施設の管理者、自治体の自然環境担当、地方環境事務所などへ相談してください。
人や動物に危険が迫っている場合は、安全を優先し、警察や自治体など適切な窓口へ連絡しましょう。
まとめ
「掲載」と「指定」を分けて確認しよう
生態系被害防止外来種リストは、外来種への注意と対策を促すためのリストです。
特定外来生物は、外来生物法に基づく指定で、飼養、保管、運搬、輸入、譲渡し、放出等に原則として規制があります。
覚えておきたい点は、次の3つです。
- リスト掲載だけで、直ちに飼育禁止になるわけではない
- 外来種のすべてが特定外来生物ではない
- リスト掲載だけで、誰でも自由に捕獲できるわけではない
実際の取扱いは、種、行為、場所、地域によって異なります。
名称だけで判断せず、最新の指定一覧と地域のルールを確認しましょう。
記事の内容を振り返りたい方は、末尾のクイズでも「掲載」と「指定」の違いを確認してみてください。
参考情報
- 環境省「生態系被害防止外来種リスト」
- 環境省「ここがポイント!『生態系被害防止外来種リスト』」
- 環境省「防除に関するQ&A」
- 環境省「特定外来生物等一覧」
- 環境省「何が禁止されているの?」
- 環境省「外来生物法に関するQ&A」
- 環境省「条件付特定外来生物アカミミガメ・アメリカザリガニの規制について」
- e-Gov法令検索「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」
- 環境省「『我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(案)』に対する意見の募集」2026年4月2日
注意書き
この記事は2026年9月6日に確認した公開情報を基にした一般向けの解説です。
個別の生物の同定や、捕獲・飼養・運搬等の適法性を判断するものではありません。
指定や制度は変更されることがあるため、具体的な対応の前に、環境省の最新情報、自治体の条例、土地や施設のルールを確認してください。
ミニクイズ
第1問
生態系被害防止外来種リストに掲載されたことで、直ちに起こることとして正しいものはどれでしょうか。
A. すべての掲載種の飼育が禁止される
B. 誰でも掲載種を捕獲できるようになる
C. すべての掲載種が特定外来生物になる
D. 掲載だけで直ちに外来生物法の規制が生じるわけではない
正解:D
リストには特定外来生物以外の種類も含まれ、掲載自体から直接の法規制が生じるわけではありません。
第2問
特定外来生物について、外来生物法で原則として規制される行為はどれでしょうか。
A. 飼養や運搬
B. 写真撮影
C. 図鑑で調べること
D. 生息情報を行政へ伝えること
正解:A
特定外来生物は、飼養、保管、運搬、輸入、譲渡し、放出等が原則として規制されます。許可や一部の例外もあります。
第3問
リスト掲載種らしい動物を見つけたとき、適切な対応はどれでしょうか。
A. 掲載種なら私有地でも自由に捕獲する
B. 生きたまま自宅へ持ち帰ってから調べる
C. 種と規制を確認し、不用意に捕まえず管理者や行政へ相談する
D. 外来種ならどこへ放してもよい
正解:C
捕獲や捕獲後の取扱いには、外来生物法以外の法律、条例、土地のルールも関係する場合があります。



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